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第1部 一章【財前姉妹】その7 第四話 コーヒーの研究

作者: 彼方
last update 最終更新日: 2025-05-05 10:00:00

80.

第四話 コーヒーの研究

 私は竹田梓(たけだあずさ)。夫と娘の3人で暮らしてる普通の主婦です。

 近頃、娘の様子がどうもおかしい。いや、おかしくはないのか?

 というのも最近、娘はいつも部屋に籠って勉強している。いつもなら最低限の宿題などをやる以外は麻雀ゲームか1人麻雀をしてるのに。それでも成績は良いのであまり文句も言えないのだが、しかしそんなに遊んでばかりでいいのかと心配にはなる。が、最近は勉強してる。

(あやしい)

 最初はやっと3年生の自覚が出てきたのかと思っていたが、こんなにも変わるものだろうか。高校受験の時だって勉強らしい勉強はしなかった子なのに。なにがどうなっているのだろう。そもそも、娘はどこに進学する気なのだろう。

 そう言えば、進学を希望しているかどうかも知らない。前回の進路調査では進学するとか言っていたけど、それだって真面目に考えてるわけじゃなさそうだった。単純に『進学』って言っとけば解決するんでしょ。みたいな感じで書いたのが見て取れた。

(コーヒーのいい香りがする。コーヒー飲みながら真面目に勉強してる……。自分用のケトルまで買って部屋でコーヒー淹れてるな。ふむ)

 あやしいと思いつつも杏奈はいつも成績優秀だったので、まあ、大丈夫かと思っていた。

 次の日も、その次の日も杏奈はコーヒーを飲みながら勉強していた。そしてふと気付く。

(……こんなにコーヒー飲む子だったっけ?)

 すると杏奈の部屋に散らかっている本のタイトルが目に入ってきた。

『美味しいコーヒーの淹れ方』

『喫茶店で働くには』

(なにこれ? もしや、最近ずっとやってる勉強はコーヒーの研究!?)

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    76.第十伍話 新人王戦へ向けて「……って言うのが私と師匠の出会いなんだけど。その師匠が久しぶりに大会決勝に駒を進めて、しかし惜しくも敗れた。それもアマチュアに。それで、その大会で優勝したそのアマチュアってのがアナタの親友だっていうんだから麻雀界は狭いわね」と成田メグミはカオリに話す。「ですね。ユウは本当にすごいんですよ」「じゃあプロになればいいじゃない」「それは違うらしくて……」「今度彼女も連れて来なさい。アマチュアの参加も大歓迎だから」 今日は杜若アカネと成田メグミの主催する麻雀研究会だった。カオリは今回アカネが他の仕事でどうしても来られないという事なので成田の助手として参加し、ついでに自分も勉強させてもらうことにした。ちなみにマナミは『ひよこ』でバイトだ。3人とも抜けるのはリーグ戦の時のみ、基本的には誰か出勤するようにしていたので今日の出勤はマナミなのである。 カオリは最近はどこに行くにもポケットに赤伍萬を入れた巾着を持参していた。 《カオリ、ここにいるのは全員プロなんですか?》(分かんないわよ、私は麻雀マニアであって麻雀プロマニアではないから。だいたいプロ雀士は多すぎるのよ)《それは言えてます》「私もね、若い頃は準優勝2回したってだけでも期待の新人とか言って特集されたし、結婚前は『氷海メグミ』だったから、冷静沈着、氷の少女、とか言われててね」「へぇーカッコいい」「別に言う程クールな麻雀してたとは思わないんだけど苗字になぞらえたキャッチコピーを作りたかったんでしょうね。キャッチコピーなんてテキトーなんだなってあの時知ったわ」「メグミさんはどっちかって言うと熱い打ち手ですもんね」「そうよ! でも、今はある程度いい成績出しても当たり前みたいな風に見られるだけのベテランになっちゃったわ。も

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    75.第十四話 アカネとメグミ 杜若(かきつばた)アカネは杜若家の次女で小説が好きな子供だった。特に好きなのは推理小説で探偵ものには目がなかった。そんな小学生だったので世間には少々変わった子だと思われた。 ある日、何を思ったかホームセンターに行った際に乾電池をポケットに入れてレジを通さず持ち帰ってしまった。それは無意識のうちの万引きだったが、この時こう思ってしまった。(万引きって気付かれないんだな)と。 そして、それ以来(探偵練習ごっこ)と称して、やれ針金を万引き。やれボルトを万引き。と必要のないものを(名探偵ならこのくらいやってのけるはずだ)というよく分からない理由で窃盗した。 しかし、それが何回か成功してエスカレートし、次は下州屋という釣具店でフライフィッシングの疑似餌セットを盗もうとした……が。「ちょっと来てもらおうか」 店長と思われる人物に腕を掴まれる。「ポケットの中、見せて」「…はい」 アカネは素直に降参して疑似餌セットを出した。「これだけで全部?」「全部です」「いま警察呼ぶから。あとは警察の人に任せるから、この部屋で反省して待ってなさい。私は忙しいからもう店番に戻るけど、二度とやらないように!」「…はい」数十分後 お巡りさんが到着する。アカネは近くの派出所に連れて行かれた。「なんであんな必要ないものを盗もうとしたのかな?」「…探偵ごっこでした」「え?」「名探偵に憧れてて……探偵ならあれくらいわけなく盗み出しそうだなって」「呆れた、それは探偵じゃなくて怪盗じゃないか。敵だよ敵」

  • 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜   第1部 一章【財前姉妹】その6 第十三話 ホール捌き

    74.第十三話 ホール捌き 泉テンマは池袋の駅前喫茶店で働いていた。そこは自分のイメージしていた喫茶店の仕事とはまるで異なり、ひたすらハードな労働だった。「喫茶店っていったら浅○南の実家みたいなのんびりした感じじゃないのかよ…… すげえキッツイじゃん……」 トゥルルルルル! トゥルルル…「はい! お電話ありがとうございます。まーじゃ…(じゃなくて)喫茶pondです」『まーじゃ?』「あ、ごめんなさい。つい最近まで働いてたのが雀荘だったもので、うっかり」『泉くんか。私、石田。あのさ、店長いるかな』「ちょっと今、近くに買い物行ってますね。多分すぐ戻りますけど」『あっ、そう。じゃあ伝えておいて欲しいんだけど、今日子供が熱出しちゃって病院行くから2時間くらいは遅刻するって言っておいて。その後は分かり次第また連絡するけど、最悪休むかもしれないから』「分かりました、お伝えしておきます」『じゃ、悪いけどお願いね』「いえ、お気になさらず」『ありがとう』 そんなわけで今日はテンマがホールも担当することになった。そこでテンマの先読みしたホール捌きが開花する。(あの3人は窓から目立つ所に案内して店内が繁盛している風に見せよう)やら(あの席は1人で静かにコーヒーを楽しむ人のための席だから近くにはギリギリまで人を案内しないよう配慮してキープしよう)やら(ちょっとマナー悪そうな人だな。酔っているのか? 常に視界に入るようにレジ近くに案内した方いいだろう)などの理由で人を案内配置して店内を支配した。 それらをやった上でレジ横の簡易キッチンでパフェやコーヒーを作り。厨房でナポリタンを作り、洗い物もした。(疲れた~。もうだめ、もう帰りたい) 石田が来

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